デジタルでイラストや漫画を描く際に、まず気になるのは初期コストではないでしょうか?
PCやiPadといった描くためのハードウェア、実際に描くときに必要なアプリ。
ハードウェアのコストは下げるのが難しいですが、アプリは無料のものもあります。
その中でも有名な無料アプリ「メディバンペイント」と私も使っている有料の「CLIP STUDIO PAINT」を使い比べてみた実感を元にサブスク加入必要かを含めて解説していきます。
- 最初に使ったアプリに慣れてしまうと他のアプリへの移行はかなり大変なので、再移行の学習コストを考えると「CLIP STUDIO PAINT」をオススメします。
結論からいうと、無料のメディバンペイントでも高機能なPhotoshopでも基本的にどれを使っても描けます。
ただ最終的にこれから長くイラストや漫画を描くことを考えているのであれば、イラスト・漫画に特化しているクリスタの機能が最も優れていますので最終的に時短効果が高いです。
メディバンペイントのメリット
クリスタのほうがオススメなのですが、メディバンペイントにもイラストや漫画を描くための機能は一通り揃ってます。
メディバンペイントも大きなメリットがありますのでご紹介していきます。
無料である
やはり無料という響きは大きいです。
ただし、無料ゆえに広告が入ります。
PC版では起動時にしか広告が出ないのでほぼデメリットにはなりません。
一方で、iPadなどで使う場合には作業画面にも結構な大きさで広告が表示されるので集中して描きたい場合にはかなりのデメリットになります。
画面の10分の1くらいの広告はさすがに邪魔すぎるかと思います。
iPadで使うことを考えると、集中をそがれるデメリットは見逃せないのでサブスクに入ることをおすすめします。
クラウドテキストがかなり便利!
漫画のフキダシなどに文字を入れる場合、 基本的にはPCやiPadに入ってるフォントしか使えません。
ただ、メディバンペイントではクラウドテキストという機能があり、デザイン的にも使い勝手の良いフォントを無料で使うことができます。
自分で持っていないフォントが使えるので、この機能を使うためだけにメディバンペイントを入れているというくらい重宝しています!
2022年3月31日にさらにクラウドテキストが10書体追加されました!
サブスクリプションサービス「MediBang Premium」加入者のみとなりますが、使いたいフォントがある場合は検討してみるのもアリかもしれません。
漫画で使いやすいフォントが揃っているのでおすすめです。
メディバンペイントのデメリット
無料ゆえのデメリットも当然あり、そのデメリットがかなり大きく悩ましいところです。
クラウドストレージの3GB制限
イラストや漫画をクラウドに保存することも少なくなくなってきましたが、メディバンペイント無料版のクラウドストレージは3GBです。
3GBを超えたらどうなるのかと言いますと、クラウドストレージ内の作品を開くことができなくなります。
つまり自分の作品を回収することができなくなるわけです。
回避策は3GBを超えて保存しないか、ひとまずWEBからだと一年分のPremium会費2480円を払って回収しかありません。
私はPC版で使ったときにはローカルのハードディスクに保存してます。
メディバンの作品人質騒動としてちょっと問題になりまして、クラウドストレージを使うにしてもDropboxなど別のものを使うほうが良いと感じました。
UIやブラシのカスタマイズ性が低い
普段クリスタを使っていて、メディバンペイントで不便に感じたのが「あと少し」を詰める設定のカスタマイズがないことです。
これをシンプルで使いやすいと考えることもできるかと思いますが、多機能で融通の利くクリスタに慣れるとかなりキツイと感じました。
クリスタでは本当に便利な機能がありますので、これらがないと相当に時間が掛かるというデメリットは締め切り間際にこそ痛感すると思います。
クリスタで活用している便利機能をまとめた記事がありますので、ぜひ参考にしてください!
素材が少ない
クリスタは無償で使える素材がたくさんありますが、メディバンペイントでは少ないです。
サブスクリプションのMediBang Premiumに加入すれば使用できる素材が増えますが、それでもクリスタの無償素材の数は圧倒的です。
その上にクリスタの有償素材を入れるとさらにできることが増えるので、コストパフォーマンスでもクリスタのほうが上になります。
描き心地の違いに馴染めない
クリスタと比較してしっくりこなかったのが、メディバンペイントは描き心地が違うという点です。
もちろんクリスタをずっと使っているのでクリスタに慣れすぎているというのは確かです。
ただ、カーソルの位置と実際に線を引いてる位置にわずかですが違和感があり、結構なストレスでした。
描線の仕上がりは悪くないんですが、クリスタよりも時間が4割増しで掛かってストレスもありました。
もちろん、慣れてなくても短時間でささっとこのくらいは描けるというのは事実でして、あとは設定を詰めていくと当然描きやすくなると思ってます。
ただ、上記のカスタマイズ性の低さやクリスタでも気になったら設定を詰め直していることを考えると、同じ描き味をメディバンペイントで再現するのはかなり大変だと感じてます。
ジャンプPAINTを出している集英社でも初心者にはクリスタ推し
ジャンプPAINTはメディバンペイントを元に開発されています。
基本機能は同じでせっかくジャンプが開発に関わってるのであれば、ジャンプ+でもジャンプPAINTを推してくるのかなと思っていたのですが…。
デジタル初心者の長谷川先生が使用したのはクリスタでした。
初心者こそクリスタという感じなのは、やはりクリスタは利用者が多いので情報やノウハウが色々なところに蓄積されているというのは大きなメリットとなります。
クリスタは多機能なので使い始めは戸惑うかもしれませんが、このブログでもクリスタの技法を中心にして紹介してますので、活用して頂けたらと思ってます!
無料が必ずしもメリットになるとは限らない
デジタルでイラストや漫画を描く場合、やはり気になるのは初期費用です。
ソフトだけでも無料で始められるというのはハードルがグッと下がるのは間違いありません。
この記事にも書いてありますが、Macだとイラストはまだ選択肢はいくつかありますが、漫画を描くとなるとメディバンペイントかクリスタの2択になると思います。
メディバンペイントで培ったノウハウが他のソフトを使うときにも無駄にならないというのもその通りだと思います。
私も10数年前に最初はPhotoshop5.5で描き始めたおかげで、その後のComicstudioから今のクリスタにつながっているからです。
一方で、クリスタのショートカットキーはすでに初期設定から3分の2は置き換えてます。
自分で使いやすいように時間を掛けてカスタマイズしてきたからです。
他の人が私の設定で使ったら絶対に戸惑います。
ただ、自分の作業効率を上げるためには重要なことです。
ソフトを乗り換えると、また一から設定を積み上げ直さないといけません。
- 使うペンや塗りのブラシの設定(手ブレ補正や描き味など)
- ショートカットキーの設定
この辺は使いながらでないと自分に最適なものが決められないので、結構時間を使ってしまいます。
メディバンペイントで私がストレスフリーで描けない理由はこれらの最適な設定を作り直す時間が大変すぎるからです。
その手間を考えるなら、最初から機能の揃っているクリスタがより良いのでは?と現在の私なら考えます。
クリスタとメディバン、サブスクリプションの比較
2023年前半からクリスタは基本的にサブスクリプションに加入する必要があります。
買い切り版も引き続き提供はされますが、おそらく最低でも年に1回バージョンアップされると思います。
そうなるとまた買い切りの無期限版を買い直さないと機能アップデートがされないのでコストパフォーマンスは悪くなるためおすすめはしにくい印象です。
1デバイスで使うとすると料金は以下のようになります。
iPadで利用 | 月額 | 年額 |
---|---|---|
メディバンペイントPremium | 330円 | 2,480円 |
CLIP STUDIO PAINT PRO | 480円 | 2,800円 |
CLIP STUDIO PAINT EX | 980円 | 7,800円 |
現行の買い切り無期限版を使っている方はアップデートプランが用意される予定で、月額利用プランより安い価格になるとアナウンスがされています。
クリスタのほうが高いのは確かですが、年額で考えるとCLIP STUDIO PAINT PROとメディバンペイントでは差はないかなと感じます。
であれば、CLIP STUDIO PAINT PROが断然オススメです。
PROでも十分にメディバンペイントよりも利便性の高い機能が使えるからです。
メディバンペイントは月額330円からと書いてはあるものの、どこから購入できるか分からなかったのですが、どうやらアプリから申し込めるようです。
個人的に公式の案内がかなり分かりにくい点は心象としてはマイナスでした。
固定費のサブスクがどうしても嫌だと感じてしまうのであれば、無期限版CLIP STUDIO PAINTのダウンロード版が良いかもしれません。
私もクリスタのサブスク化を最初に聞いたとき「現在のバージョンでも満足だしなあ」と思ったのは事実です。
ただ、その後の機能アップデートのアナウンスを見たときに「やっぱり機能が増えれば便利だよね」と思ったのでサブスクには入るかなと感じてます。
もちろん、学生さんや駆け出しのアシスタントさんなど出費が気になるという方はダウンロードのクリスタPro無期限版を5000円で買ってとにかく慣れるというのが安く始める最適解かなと思います。
バージョンアップで機能が追加されないとしても、現行でも十分な機能があるというのも事実ですから。
単純にイラストだけを描くということで考えると、iPad+Procreate(1220円)が最安で始められるかなという感じです。
WindowsならSAIを使っている人も多いですね。
Youtubeのメイキング動画でも結構見かけますし、費用もクリスタProと同程度ですのであとは好みの問題かな?って感じでしょうか?
番外編・Photoshop
絵を描くのに有名なソフトにPhotoshopがあります。
絵を描くことに特化しているわけではないのですが、多機能なので絵を描くことに使う方も多いです。
私もデジタルで描き始めた十数年前はPhotoshopでした。
現在はやはりお絵描きに特化したクリスタが便利だと感じますが、Photoshopの細かい色調整やぼかし系フィルタ、より的確な変形機能などクリスタでは出来ないことが簡単にできるのは魅力です。
フォトプランが月額1,078円なので、使いたいときにピンポイントで利用するのもアリかなと思います。
私はミラーレスカメラを使い始めてから再びPhotoshopに出戻りしてきましたが、色調補正のしやすさやぼかしの選択肢などはさすがPhotoshopだと思ってます。
ネットでAdobe税と言われているのを見ましたが、こういう考え方はやめたほうがいいです。
税という考え方は搾取されているという被害者意識なのかもしれませんが、月額1000円でより大きな利益を生み出す投資という考え方のほうが必ず成長に繋がります。
月額1000円を惜しんでいたら、神絵師のさいとうなおき先生はこの世界に誕生してなかったことでしょう。(さいとうなおき先生はプロが使っているものを最初から使うべきという考えからPhotoshopを使い始めたとおっしゃってます。)
全員が投資して利益を得られるかはわかりませんが、まったくお金を使わずに利益だけ欲しいというのは極めて難易度が高い話です。
画像編集ソフトはたくさんありますが、残念ながらPhotoshopを超えるものは今まで出てきませんでした。
必要なところにお金は使う、ノーペイン・ノーゲイン(痛みなくして得るものなし)というのを忘れないようにしてください。
時短を考えるならサブスクに加入したほうがお得
メディバンペイントはシンプルなので初心者に優しい面があります。
必要な機能は一通り揃っているので、作業をすべてこなすことは可能です。
クリスタは設定が多すぎて初心者は戸惑うかもしれません。
同人誌など出すときにはクラウドテキストを使うと一味違った印象を作り出せると思います。
ただ、クリスタは利用者が多いので必要な情報は検索すると出てくることが多いです。
- 自分の慣れた線の描き味
- カスタマイズしたショートカットキー
- 利用しやすい数多くの素材
少しずつ積み上げていく経験値はのちの資産になります。
いろんなアプリを使うと、どうしてもそれぞれの使い勝手が違うので効率が落ちてしまいます。
集中力を途切れさせるというのは本当にもったいないので、デジタルに慣れるということを考えるのであれば最初からクリスタを使うことが上達への最短ルートだと思います。
メディバンペイントのクラウドテキストはオススメですし、Photoshopのフィルタや画像変形はとても素晴らしいです。
そんな中でイラストや漫画を描くことを考えるともっとも最適なのはクリスタだと言えます。
- メインはクリスタ
- セリフの一部分をメディバンペイントのクラウドテキスト
- サブスクの機能追加は時短効果が大きいので、必要を感じたなら加入推奨
痛感するのは時短の重要性です。
上手い人より足りてない自覚があるのに、さらに自分に縛りプレイをするのは絵を描く難易度を上げるだけですので私はサブスクに入るでしょう。
悩んでいても描き始めないと上達はしません!
メディバンペイントは無料です。
CLIP STUDIO PAINT EXクリスタ体験版は3ヶ月無料で利用できます。
どちらでもいいので、まずは行動することから始めましょう。
慣れてきてもっと機能が欲しいと思ったらサブスクに加入するのが良いと思います。
青色申告をしている人は年一回の経費処理する手間が増える程度と考えればいいと思ってます。
以上、少しでも参考になれば嬉しいです!
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